衝撃弾性波法(iTECS)とは?

衝撃弾性波法(iTECS)のセンサーを、コンクリート表面に押しつけ、センサーの近傍を鋼球などのインパクターにより打撃すると、弾性波が発生し、コンクリート中を伝搬します。

 この弾性波はコンクリートの弾性率、密度によって、伝搬する速度が変化するとともに、内部に空洞などが存在すると、空洞位置で反射する性質があります。

 衝撃弾性波法(iTECS)はこのインパクターによる打撃によって生じる弾性波をセンサーで観測し、弾性波の伝搬速度、反射時間などを測定して、コンクリート表面、内部の状況を非破壊で検査する画期的なシステムです。

衝撃弾性波法(iTECS)では次の調査が可能です

  •  コンクリートの圧縮強度推定
  •  コンクリートの厚さ測定・内部欠陥状況
  •  ひび割れの深さ
  •  モルタル・タイルの浮き状況等

衝撃弾性波法(iTECS)の特徴

  • 測定がスピーディー

    コンクリート表面に対して特別な処理を必要としません。短時間で測定出来るので、より多くの測定点での測定が可能となります。
  • 多機能・高精度

    衝撃弾性波法(iTECS)では圧縮高度、厚さ、欠陥探査など、多くの項目についての測定が可能です。コンクリート厚さの測定精度は約±4%です。
  • 深部までの探査が可能

    コンクリート構造物の厚さ測定、欠陥探査では厚さ100mm~2500mmに適用できます。深さ100mm未満の欠陥(表面剥離)については、欠陥の平面位置を探査する事が出来ます。

衝撃弾性波法(iTECS)によるコンクリート圧縮強度の推定

衝撃弾性波法(iTECS)によるコンクリート圧縮強度の推定の詳細

測定対象のコンクリート内部を伝搬する弾性波の速度を測定することでコンクリートの圧縮強度を推定します。コンクリート内部を伝搬する弾性波速度とコンクリートの圧縮高度との間には、同一配合であれば強い相関関係があります。つまり、この相関関係を利用して、衝撃弾性波法(iTECS)により測定した弾性波速度からコンクリートの圧縮強度を推定します。

新設コンクリート構造物推定手順

図-1.1
  • コンクリート打設時に円柱供試体を複数作成し、これら供試体における圧縮強度と弾性波速度の関係から強度換算(あるいは推定)式を求めておく(図-1.1)
  •  コンクリート構造物の任意の場所において、衝撃弾性波法(iTECS)により弾性波速度を計測する。
  •  図-1.1のように構造物で求めた弾性波速度と強度換算式から強度を推定する。

既設コンクリート構造物推定手順

  •  コア採取位置で、弾性波速度を推定する。(同レベルで、1ヶ所のみ)
  •  コアを採取し、圧縮試験をする。
  •  調査箇所で、弾性波速度を測定し、圧縮試験データと調査箇所の弾性波を比較する。

推定精度

図-1.2

新設コンクリート構造物で衝撃弾性波法(iTECS)により推定した圧縮強度と、コア採取による圧縮試験結果を比較した結果は、図-1.2のとおりです。図-1.2より、衝撃弾性波法(iTECS)を用いた場合、おおむね±15%以内の誤差で強度推定が可能となります。

 ※本測定内容は国土交通省「微破壊・非破壊によるコンクリート建造物の強度測定試行要領(案)」に基づき衝撃弾性波法(iTECS)法として導入されています。

▼国土交通省ホームページ
http://www.mlit.go.jp/tec/sekisan/sekou/pdf/210331kyoudo02.pdf 

▼ (独)土木研究所ホームページ